『読売新聞』秋田版2008年8月14日付

資源系教育復権へ 秋田大プログラム
連携全国4大学と、教員育成も


秋田大学(吉村昇学長)は今年度から、北海道大、早稲田大、東京大、九州大と連携して、鉱物資源開発や金属リサイクルなど「資源系」の教育を行い、併せて資源系の若手教員の育成に乗り出すことになった。秋田鉱山専門学校からの流れをくむ秋田大が幹事校となり、同大で集中授業などを行う。

5大学による取り組み名称は「資源開発人材育成プログラム」。資源・素材学会、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、石炭エネルギーセンター、日本鉱業協会、国際資源大学校、石灰石鉱業協会が協力する。秋田大によると、国内の大学で鉱山系の学部、学科、コースのある大学は5大学以外にないという。

プログラムでは、「大学連携資源塾」と題して、資源分野を学ぶ各大学の3年生以上の学生を対象に計20人以上を秋田大に集め、来年3月に5日間、資源開発や金属リサイクル、資源経済など鉱物資源全般の集中講義を行う。

また、資源開発・鉱山の現場を知るため、海外就業実習として毎年、複数の学生をオーストラリアやチリ、インドネシアなど海外の巨大鉱山に派遣する。資源学を専門とする30歳代の若手教員を育成するため、若手教員も研究調査として海外に派遣する。

秋田大工学資源学部の柴山敦准教授(リサイクル工学)によると、資源系の学部や学科は、国内鉱山の閉山が相次いだことなどから社会的なニーズを失い、学科再編などで工学部などに様変わりし、資源系の教員も少なくなり、一つの大学で教育することが難しくなっているのだという。30歳代の若手教員も、5大学にそれぞれ1〜2人程度しかいないのが実態で、5大学が連携して資源分野の魅力を学生にアピールすることで、若手研究者を増やすことも、プログラムの狙いの一つでもある。

また、「最近(金属リサイクルやレアメタルなど)資源は大事だと資源系が注目されるようになった」(吉村学長)ことから、資源に詳しい人材育成を求める社会的な機運の高まりも背景にある。吉村学長は「秋田大は、鉱山系の人材開発で日本の中核となる大きな役割を持った」と話している。