『中日新聞』2008年8月3日付

育て環境リーダー 名大大学院に新講座


名古屋大は、日本を含むアジア、アフリカ地域の学生を環境問題解決に向けた国際的リーダーに育成する特別コースを来年度、大学院修士課程に設置する。企業や自治体での研修などを通じて具体的な知識や技術、実践能力を身に付けてもらい、世界に送り出す。

特別コースは「国際環境人材育成プログラム」。文部科学省が年間1億円の事業予算を本年度を含めて5年間、配分する。名大は月内にも「国際環境人材育成センター」を設立し、専任教員やスタッフを配置する。

名大は2001年に工学、社会科学、理学系にまたがる環境学研究科を大学院に設置。今回、同研究科を中心に、世界的なリーダーとなる人材を育てることにした。

対象の学生は今月と来年2月に行われる環境学、工学両研究科の試験を通じ、アジア、アフリカの留学生計10人と日本人学生5人を選抜する。

特別コースの学生は(1)地球温暖化対策(2)水・廃棄物対策(3)生物多様性保全−の3分野から1つを選択。環境学、工学、生命農学、国際開発の計4研究科の既存科目と新規開設の科目を受講する。講義はすべて英語になる。

1年目は途上国が直面する問題に取り組む能力を身に付け、2年目は中部地方の企業などでインターンシップ(就業体験)を行い修士論文を作成する。インターンシップの費用は大学側が負担し、留学生の入学金と授業料は免除する。

林良嗣・名大環境学研究科長は「2010年にCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が開かれる名古屋で、国際的に通用する環境分野のリーダーを育てたい」と話している。