『読売新聞』2008年8月5日付

「大学の実力」調査反響
「自己評価」の甘さ 批判


先月20、21日に掲載した「大学の実力 教育力向上への取り組み」調査に対する反響が続いている。大学の自己評価に対して厳しい意見が多い。

調査結果について「大学のことを考えるいい機会になった」と志望校選びに悩む高校3年生からメールが届いた。

総合自己評価で「A」を付けた大学の学生は「正直に言って驚いている」。「大学からのテストの日程や補講の連絡が不足し、迷惑を被っている」という実態を知らせるとともに、「出席確認をすませば、すぐに教室を出てしまうような、モラルのない一部学生のため集中できない授業がほとんどだ」と訴えた。

別の大学の学生は、「予備校と比べて授業の質が低い」とこぼす。「講義に対する教員の意欲が低い。教科書を棒読みし続ける教授もいる。難関大学と呼ばれる大学が、中身で勝負する日が来ることを望む」

「大学名や偏差値だけの進路指導で大学を選ばせたことを大変後悔している」という保護者は「大学の在り方、若者の在り方で、これからの日本社会も生きるか死ぬかになると思う」と大学の自覚を求め、学生への指導に注文を付けた。

当事者の大学からは、教育を見直す上で「刺激になった」とする声も多かった。非回答校を列挙すべきだと提案する私大の教員もいた。一方で、大学内の関係者から「誰が回答したか不明なので教えて」「これから回答できないか」といった、理解に苦しむ問い合わせも相次いだ。(松本美奈、中西茂)

「大学の実力」調査の数値修正 「大学の実力 教育力向上への取り組み」調査で、個々の大学から数値の訂正がありました。この結果、平均2・6%とした昨年度1年間の退学率(先月20日朝刊1面掲載)は2・5%となります。訂正は以下の通り。

▽千葉工業大=退学率〈1〉27%→13・1%、退学率〈2〉11%→3・3%▽神戸松蔭女子学院大=退学率〈2〉10・16%→3・4%▽目白大=退学率〈2〉11・5%→5%▽神戸薬科大=退学率〈1〉8%→5・7%、退学率〈2〉3・5%→2・8%▽早稲田大=専任教員法定数290→791▽甲南大=定員数6820→7060

※退学率〈1〉=2004年4月入学者のうち卒業時までの退学・除籍者 退学率〈2〉=07年4月入学者のうち今年5月1日までの退学・除籍者