『河北新報』2008年7月26日付

東北大、三井住友銀と協定 中小企業を支援


東北大は25日、三井住友銀行(東京)と産学連携に関する協力協定を締結したと発表した。東北大の工学的技術を三井住友銀行を通じて取引先に提供し、全国の中小企業を支援するネットワーク構築を目指す。

同大がメガバンクと産学連携で提携するのは初めて。半導体や材料、電子関連分野の研究と知的財産を活用。中小製造業を中心とした三井住友銀行の取引先企業が抱える技術的課題について解決策を図る。

三井住友銀行の営業拠点が接する取引先企業の経営課題や技術相談について、銀行本部の専門部署が集約する。企業のニーズに合った東北大の研究室や教授を探しだし、研究者への引き合わせまで支援する。

ほかに、実用化が見込める東北大の知的財産を三井住友銀行の顧客に紹介する。

東北大の産学連携推進本部は「東北大の技術を中小企業に橋渡しできれば」としている。

◎実験動物研とも協力協定を締結

東北大と実験動物を扱う財団法人・実験動物中央研究所(川崎市)は25日、生命科学、材料科学など異分野融合の共同研究や人材育成を目指し、協力協定を結んだ。

東北大と実中研はこれまで、大学院医学系研究科、加齢医学研究所などで個別の研究協力を進めてきたが、協定により包括的な連携を強める。

研究施設を相互に利用し、既に実績のあるライフサイエンス分野のほか免疫不全症の薬剤開発、社会科学関連の分野で共同研究を推進。研究者の交流を深めるとともに、共同で研究教育の場を設置し、若手研究者、技術者らを育成する。

仙台市青葉区の東北大であった調印式で、井上明久総長は「実中研の技術、品質、信頼と大学の研究を融合し、健康問題解決に貢献したい」とあいさつ。実中研の玉置憲一理事は「東北大の工学的テクノロジーと実中研のノウハウを生かし、新しい生命科学を世界に発信したい」と話した。