運営費交付金削減幅3%拡大の閣議決定を許さないためにただちに行動を!

2008年7月27日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

国立大学協会は23日、政府が09年度予算の概算要求基準(シーリング)で「重点化促進枠」を3000億円に拡大するため、国立大の運営費交付金の削減幅を3%に拡大する方針を固めたことに「教育の質を保つことは難しくなり、一部国立大学の経営が破綻(はたん)する」と反対するとの小宮山会長名による緊急アピール(末尾資料1)を発表した。これに呼応し、各大学では削減幅3%拡大反対の声が急速に拡がっている。例えば福井大学では福田学長が反対の意思を表明し、西川福井県知事へ交付金確保のために協力要請を行ったことが報道されている(末尾資料2)。文科省も22日に行われた全大教(全国大学高専教職員組合)からの緊急の申し入れに対して「3%のシーリング枠、運営費交付金のこれ以上の削減には反対の立場で取り組む」と表明している。

こうした強い抗議のなかで政府は、「国立大学運営費(交付金)・私学助成費のそれぞれ同1%削減などを続ける」との方針を表明しているとの報道もある(7月26日『毎日』)。しかし、29日(火)の閣議決定で運営費交付金削減枠3%拡大の危険は依然として去っていない。既に1%の削減によって瀕死の状態にある多数の大学は、3%への拡大によって第二期中期目標期間の前に崩壊に至るであろう。すべての大学教職員に対して、そして大学内の各機関に対して29日に予定されている閣議において絶対に削減幅3%拡大を決定させないために、それぞれの方法によって緊急の行動を起こされることを訴える。

【資料1】
平成20年7月23日
概算要求基準における国立大学法人運営費交付金の削減幅を3%とする方向の検討について(緊急アピール)
社団法人 国立大学協会
会長 小 宮 山 宏

国立大学は、これまで、我が国における知の創造拠点として高度人材育成の中核機能を果たすとともに、高度な学術研究や科学技術の振興を担い、国力の源泉としての役割を担ってきました。
しかしながら、国立大学法人の財政的基盤である運営費交付金は、骨太方針2006 に基づき、毎年△1%の適用を受け、削減され続けており、各法人では各々が懸命の経営努力により対応しているものの、その努力も限界に近づきつつあります。
それにもかかわらず、最近、政府部内において、来年度概算要求基準における運営費交付金や私学助成費の削減幅を3%とする方向で検討が行われていると仄聞しています。
そのような運営費交付金等の大幅かつ唐突な削減が行われれば、教育の質を保つことは難しくなり、さらには一部国立大学の経営が破綻することとなります。また、地域における医師等の人材育成機能が低下するだけでなく、学問分野を問わず、基礎研究や萌芽的な研究の芽を潰すなど、これまで積み上げてきた国の高等教育施策とその成果を根底から崩壊させることとなります。こうした結果を招来するならば、「教育振興基本計画」や「留学生30万人計画」等の実施に支障が生ずることも明らかです。
つきましては、国立大学運営費交付金の大幅削減に強く反対するとともに、その確保・充実を求めます。

【資料2】
09年度予算:シーリング 知事に交付金の確保で協力要請−−福井大学長 /福井
 政府が09年度予算の概算要求基準(シーリング)で、国立大の運営費交付金の削減幅を1%から3%に拡大する方針を固めたことを受け、福井大の福田優学長は24日、西川一誠知事を訪問し、削減反対と交付金確保に向けた協力を要請した。福田学長は、「3%削減は教育研究機能に重大な支障をきたす」などとする声明文を手渡し、「交付金が削減されれば、高等教育がだめになってしまう。知事からも関係省庁に交付金確保を要請してほしい」と訴えた。これに対し、西川知事も「地方の大学の危機的な意識を伝えたい」と同調した。(毎日新聞 2008年7月25日 地方版)