『静岡新聞』2008年7月13日付

クイッと“静大日本酒” OBが手掛けた酵母使用


静岡大が「静岡酵母」を使ったオリジナルの日本酒造りに乗り出した。評判の良い静岡の地酒を大学ブランドで開発し、地場産品と大学双方のPRを狙う。全国各地で「大学ブランド商品」の開発が活発化する中、静岡大も参戦した格好だ。

ブランド商品は来年の大学創立60周年を記念して取り組む。静岡の地酒の評価を飛躍的に高めた「静岡酵母」の生みの親で、同大農学部OBの河村伝兵衛さん=昭和40年卒=の功績に着眼し、開発第1弾に日本酒を選んだ。

仕込みは、農学部が藤枝市仮宿の実習水田で栽培した酒米を使う。農薬や化学肥料は使わず、数年前から研究してきた有機水稲栽培技術を活用する。河村さんの紹介で、醸造は島田市の大村屋酒造場の協力を得た。精白度40―50%の純米大吟醸800本の製造を目指す。商品名とラベルデザインは一般市民や学生、教員、OBから公募する。

農学部の学生と教員が6月上旬、30アールの実習水田に酒造好適米「山田錦」の田植えを行った。同学部の鈴木春夫事務長は「大学ならではのこだわりを持って、おいしいお酒を造りたい」と話す。

大学ブランド商品は2004年の国立大学の独立行政法人化以降、大学名と研究成果をアピールする手だてとして公私立を含めた全国の大学で広がりつつある。

米、野菜、精肉、食品加工品、サプリメントなど多種多様な商品がある中、酒類は特に扱う大学が多い。酒所にある神戸大や新潟大などは日本酒を商品化し、鹿児島大は焼酎、東京大は泡盛、京都大はビール、同志社大はワインを手掛けている。

静岡大ブランド日本酒の商品名募集は8月18日まで。ラベルデザインは9月に公募する。問い合わせは同大[電054(238)5179]へ。