『毎日新聞』2008年7月9日付

学士力:国が指針 大学教育の質保証へ−−中教審が答申案


中央教育審議会の大学分科会は8日、大学教育の質を保証する対策として、面接などを重視して合否を決めるアドミッション・オフィス(AO)入試や推薦入試の際も学力を把握したり、学部で身につけるべき能力「学士力」を指針として示すことを求める答申案をまとめた。中教審は近く渡海紀三朗文部科学相に答申する予定で、文科省は大学の指導改善を促す働きかけを強めることにしている。

答申案は、日本が大学全入時代を迎え、「学位が国際的な通用性を失う懸念が強まっている」「『出口管理』の緩さに対して産業界の不信感がある」と危機感を表明。「質の維持・向上の努力を怠る大学の淘汰(とうた)は不可避」として、体制に不備のある大学には「財政面で厳格に対応すること」を求め、補助金などのカットも示唆した。

具体策としては、多文化理解やコミュニケーションスキルなどの項目で測る「学士力」を国が指針として示し、各学部共通で身につけるべき能力の基準にすることを要求。「高大接続テスト」(仮称)を新設することについての研究促進も求めた。【加藤隆寛】