『読売新聞』2008年7月10日付

「大学の実力」初調査…一覧で見る学習支援策、退学率
読売新聞朝刊に掲載…20日・東日本編、21日・西日本編


全入時代を迎え、大学の真の実力が問われている。社会が期待する人材を育てているか。単なる偏差値やブランドイメージではなく、教育力が注目されている。

読売新聞社は国内の全4年制大学を対象に教育力に関する初の調査を行い、個別データを7月20日、21日の朝刊に特集記事として掲載する。長期連載「教育ルネサンス」との連動企画。

調査は「大学の実力―教育力向上の取り組み」と題し、725の国公私立大学に約50項目の設問からなるアンケートを発送、499大学から回答を得た。その内容を、清成忠男・元法政大総長、岡村甫(はじめ)・前高知工科大学長、井下理(おさむ)・慶応大教授、沢田進・大学基準協会参与ら、大学教育や経営の現状に強い問題意識を持つ有識者13人による「大学の実力検討委員会」に評価してもらった。

特集記事は、20日が東日本編、21日が西日本編。一覧表にして各大学の回答を掲載する。

最大の注目点は、これまで“門外不出”だった退学率。大学の人材を養成する力や取り組みを表す大きなバロメーターとなる。最近は「入りにくく、出やすい」と言われた日本の大学の体質も変わりつつある。成績評価を厳しくし、卒業を難しくしてでも力を付けさせようという動きが進んでいる。今回の調査から、その傾向はうかがえるのか。

大学の教育の熱心度を計る物差しとなる出席状況の把握や補講の実施状況、習熟度別授業のデータとなるプレースメントテストの実施状況、授業評価アンケートの活用方法など、授業にかかわる具体的な情報が満載。7月下旬から本格化するオープン・キャンパス(学校見学会)の参考となるはずだ。

教育力を組織的に高める取り組みを意味するFD(faculty development)が今年4月、大学に義務づけられた。調査からは多くのユニークな試みが始まっていることも分かった。それらは「教育ルネサンス」で随時紹介していく。