『京都新聞』2008年7月4日付

iPS知財管理会社を設立
京大、新薬開発目指す


京都大は3日、山中伸弥教授が世界で初めて作製に成功したiPS細胞(人工多能性幹細胞)にかかわる知的財産を管理する株式会社「iPSアカデミアジャパン」(京都市上京区)を設立した、と発表した。京大だけでなく、他大学や研究機関のiPSに関する知財も管理する予定で、「オールジャパン体制」で研究成果を社会に還元し、新薬の開発や医療への応用を目指す。

知財管理会社は、京大の役員らが参加して5月に設けた有限責任中間法人が全額出資して設立した。資本金は1億円。代表取締役には前奈良県立医科大学長の吉田修・京大名誉教授が就任した。

京大などから管理を任されたiPS細胞の特許について、大学などの非営利で研究を行う機関には無償で、製薬企業などの営利目的の機関には「適切な対価」を求め、それぞれライセンス契約を結んで使用を認める。

当初は京大が出願している特許だけを管理するが、慶応大や東京大などのiPS細胞の研究拠点にも参加を呼びかけ、企業などが特許を使用しやすいよう、関連特許を一元化して取り扱う「パテントプール」の形成を目指す。

管理会社では、大学などの特許出願に関する支援も行う。会見した松本紘理事(研究担当)は「京大のためだけでなく、日本全体でiPS細胞の研究に取り組むための会社にしたい」と話した。