『毎日新聞』岩手版2008年6月26日付

岩手大学:外部資金、前年度より1億2800万円減 法人化後、初の減


◇共同研究件数も

岩手大学(盛岡市、藤井克己学長)が07年度に獲得した外部資金は前年度比1億2800万円減の7億5600万円で、法人化後初めて減少したことが分かった。企業や団体などとの共同研究件数も同11件減の182件にとどまり、集計を取り始めた90年以来初めて落ち込んだ。同大は「県内に地域密着して取り組んできたが、踊り場を迎えた」と話している。【山口圭一】

外部資金は、企業や自治体などとの産学官連携で共同研究や受託研究によって学外から得た研究費と寄付金を合計したもの。国立大学法人化で独立採算が求められるようになり、全国の国立大では、充実した研究を続けるために外部資金の獲得に奔走、学外からの注目度を反映するとされる。

同大研究協力課によると、01年度に3億9300万円だった外部資金獲得額は年々増加し、06年度には8億8400万円まで伸びたが、07年度は減少。金属系材料研究開発センターとの共同研究が06年度で終えたのと、複数年度にまたがる共同研究で06年度に一括で研究費を受け入れたことが響いたという。

同大では評価の高い金型・鋳造技術の研究を通じて、県内企業を中心に産学連携を進めており、04年度には地域連携推進センターを設置、強化してきた。

斎藤徳美副学長は「県内で大学と手を組める規模の企業は限られる。学内の研究者数からも、共同研究が従来通り青天井で増えることはあり得ない。基礎研究も必要だ」と説明。藤井学長は「企業が求めるレベルが次の段階になり、大学が応えきれていないのかもしれない。テコ入れが必要だ」と語る。