共同通信配信記事 2008年6月27日付

教育の数値目標は明記せず 財務省反対で 教育基本計画、1日決定へ


政府が初めて策定する教育振興基本計画最終案の大枠が27日、明らかになった。文部科学省が求めた「国内総生産(GDP)に占める教育投資の割合を5・0%超に拡充する」など焦点の数値目標の設定は、財務省などの反対で文科省が盛り込みを断念した。

計画策定を契機に教育予算の大幅増を狙った文科省の狙いは大きく後退した。政府内の調整は27日に終了、30日に与党の了承を得て7月1日の閣議決定を目指す。

最終案では、教育投資については「経済協力開発機構(OECD)諸国など諸外国の状況を参考に、必要な予算の財源を措置し、教育投資を確保する」との表現にとどめ、数値の明記は避けた。

さらに小中学校の教職員定数を約2万5000人増やすよう文科省が求めていた点についても人数は示さず、改定学習指導要領の円滑な実施に向けて「定数の在り方を検討する」との文言に修正することで合意した。

最終案について渡海紀三朗文科相は27日午後、「満足できる記述ではないが、毎年の予算要求で頑張っていこうと決断した」と記者団に説明した。

文科省は5月23日、GDPに占める教育投資の割合を現在の3・5%から「OECD諸国平均の5・0%を上回る水準」に拡充するなどの数値目標を盛り込んだ計画原案を発表した。

これに対し財務省や総務省は、政府の歳出削減や地方公務員の削減方針に反するとして反対。折衝は暗礁に乗り上げていたが、重要政策の基本方針である「骨太の方針2008」を27日に閣議決定したことから、町村信孝官房長官が渡海文科相ら関係閣僚に早期決着を指示、数値目標の取り下げで合意した。