『毎日新聞』長崎版2008年6月21日付

県庁舎移転!?:現庁舎跡地に統合病院を 長大、建て替え計画で提案


◇長崎市側は難色「変更困難」

長崎大の河野茂・医学部長は20日、長崎市が同市新地町の現在地に15年度の完成を目指して建て替え計画を進めている新市民病院と、日赤長崎原爆病院(同市茂里町)の統合を検討するよう、田上富久・同市長に提案した。河野医学部長は統合病院の建設地に、県庁舎移転後の跡地を視野に入れていることも明かした。田上市長は「市民病院を良くするために取り込めるものがあれば取り込むが、あくまで現地建て替えを進めたい」と話した。

同市によると、05年に新市立病院建設地検討委員会を設け、06年7月に現在地での建て替えを決定。さらに県医師会や長崎大などでつくる外部会議の報告書を基に昨年8月、新市立病院建設の基本方針をまとめ、同10月、県から都市計画の事業認可を受けて、既に用地買収などを進めている。

大学側からの要望があったのは今年4月。同大医学部は「総務省の公立病院改革ガイドラインを踏まえ、日赤長崎原爆病院の統合などを視野に高機能病院の建設を強く求める」との要望書を市に郵送した。県も統合の必要性を唱え、大学と実現に向け協議。県庁舎跡地のほか、JR長崎駅周辺、市公会堂なども候補地に挙げている。

しかし、市側は同5月に「早期に病院建設して医療サービスを提供するのが責務」などとして、計画変更は困難との意向を伝えていた。

それでも、長崎大側は計画変更をあきらめきれず、河野医学部長の田上市長への直接提案につながったという。【下原知広】