『山形新聞』2008年6月18日付

山形大大学院に新コース 09年度から「世界戦略MOT」


山形大は17日、2009年度から同大大学院理工学研究科ものづくり技術経営学専攻に「世界戦略MOT(技術経営)コース」を開設することを明らかにした。地域の中小企業が国際競争力を持つことができるように、総合的に世界市場を俯瞰(ふかん)できる人材の育成を目指す。

同コースは、文部科学省の科学技術振興調整費に採択された「『世界俯瞰の匠(たくみ)』育成プログラム」に基づき設置する。同大地域共同研究センターの小野浩幸教授は「県内の製造業は、海外との競争が激しさを増し、低価格による収益性の低下が進んでいる。世界戦略を立てられる人材の育成が急務だ」とプログラムの狙いを説明する。

同調整費には08年度、全国から247の提案があり、同大を含む62案が採択された。プログラムは5カ年で資金は各年度5000万円。具体的には新コースを設置し、グローバルマーケティングから品質管理、リスクマネジメントまで、ものづくりの全工程を世界的視野で戦略化できる人材づくりを進める。

新コースの定員は6人で、学部卒業生のほか、エレクトロニクス分野の地域企業の経営者や、金融機関職員、行政担当者などの入学を予定している。カリキュラムは、総合大学の強みを生かし、文理融合による実践的な学習を取り入れ、海外インターンシップの実施や地域の産業界との密接な関係を基盤としたプログラムを展開する。

小野教授は「人材を輩出し、地域のものづくり産業の再生を図っていきたい。成果が挙がれば、恒常的なコースにしていく」と話している。