『信濃毎日新聞』2008年6月12日付

バイオマスの活用探る 全県組織が発足へ


信大や県、県内企業などが、間伐材や食品残さ、キノコ生産で使った廃培地といったバイオマス(生物資源)の有効活用を探る全県組織「バイオマスユーティリゼーション研究会」を7月1日に発足させる。当初はバイオマスを農業で使う燃料や食品に使うシステムの構築を目指す計画。原油価格の高騰を背景に産学官、農商工の連携を強め、一部にとどまっているバイオマスの利用を拡大し、産業化にもはずみをつけたい考えだ。

信大地域共同研究センター(長野市)などが呼び掛け、信大の工、農、繊維の3学部と大学院、長野高専、県、長野市、須坂市、千曲市、県農協地域開発機構(長野市)、直富商事(同)、日本電熱(安曇野市)などが加入して活動を始める。テーマごとにプロジェクトを設け、産業化に向け具体的な研究開発に取り組む。

プロジェクトの1つとして、本年度はバイオディーゼル燃料(BDF)の循環システムの研究に着手する。遊休農地で栽培するヒマワリの種から採取した油を販売し、使用済みの廃油を回収。一方でキノコの廃培地から抽出した糖分からエタノールをつくり、回収した廃油と反応させてBDFを精製し、トラクターの燃料などに使う。

ヒマワリの油や廃培地の糖分でドレッシングなどの開発や、ヒマワリ農園で観光振興などにも取り組む。

将来的な開発計画には、廃培地や間伐材を加工した固形燃料のほか、ワインやジュースの製造過程で出るブドウなどの搾りかすを使った機能性食品や化粧品などが挙がっている。

研究会は今後も、幅広く企業や自治体に参加を呼び掛ける。事務局を務める信大地域共同研究センターの藤井国久・産学官連携コーディネーターは「さまざまなアイデアや技術を集めて実用化に結び付けたい」と話している。