共同通信配信記事 2008年6月12日付

支援怠れば「教育亡国」 高等教育投資拡大求め声明


高等教育への支援を怠れば、日本は「教育亡国」の道を歩むことになる−。慶応大の安西祐一郎塾長ら中教審委員の4人が12日の会合で、教育振興基本計画の策定を進める政府に、大学や大学院など高等教育への財政支出拡大を訴える緊急声明を発表した。渡海紀三朗文部科学相にも要望書を提出した。

基本計画をめぐっては、現行の国内総生産(GDP)比3・5%の教育予算を、今後10年間で経済協力開発機構(OECD)諸国平均の同5・0%に拡大するとした文部科学省原案に対し、歳出拡大につながる数値目標の設定に財務省が反発。2007年度中を予定していた閣議決定が大幅に遅れている。

声明は「高等教育のグローバル化で人材の獲得競争が激化している」と指摘。世界最高水準の教育研究環境を整備して優秀な学生を引きつけ、教育の成果や質を向上させるためには、政府による教育投資の数値目標設定や財政支出の強化は重要と主張している。