『毎日新聞』埼玉版2008年6月6日付

連携:埼玉大など4大学院がITで 即戦力へ技術者養成


埼玉大は茨城大、群馬大、宇都宮大の関東3大学と大学院連携プログラムを設立した。先端の情報技術(IT)では大学によって専門分野の到達度が異なるため、得意な分野の知識・技術を教え合うことで、即戦力の技術者を養成するのが目的。今月3日から各大学院で講義を始めており、文部科学省の認可が出れば来年度にも4大学共同大学院に発展させる意向だ。

開発の管理やコストなど経済科学系は埼玉大、ウェブサービスや情報セキュリティーといったエンタープライズ系は茨城大、機械の中にコンピューターを入れる組み込み型技術は宇都宮大、理論分野は群馬大など、それぞれの大学が得意分野を出し合った。履修者は2年間で30単位が取得でき、修士の学位が得られる。定員は各大学院とも4人程度。情報系の他の院生も参加できる。

大学に先端IT分野で即戦力となる技術者の養成を求める声は学生側はもとより産業界からも強かった。しかし単一の大学だけで技術の進化が早いIT系の教員を充実させることは難しく、4大学は数年前から共同プログラムの検討を続けてきた。連携プログラムへの布石として06年4月からは4大学院で単位の互換協定も締結した。

講義は実習などで拠点の大学に集まることもあるが、基本的にテレビ会議システムを使った遠隔授業になる。茨城大の田切美智雄・学長特別補佐は「大学として教育の新しいやり方のスタート。教員、学生にとってもメリットが大きい。今後は違う分野でも連携の可能性を話し合っている」と話している。【若井耕司】