「公正な学長選考を求める裁判を支える会」
ニュースレター NO.5
2008、6,1


○ 裁判闘争は新しい段階―行政訴訟―へ! 

 構成員の皆さんの更なるご支援を訴えます!
すでにニュースNo4でお知らせしたように、私たちが提訴した学長選考への異議申し立て裁判は新たな段階を迎えました。ここで現状を整理してみましょう。

1 これまでの裁判

@ 性格:民事訴訟
A 内容:学長選考会議の決定の無効確認の訴え
B 訴えの相手:国立大学法人高知大学

2 現段階での問題点

実質的な審理に入る前提として、「原告適格」及び「確認の利益」(「選考会議の決定の無効」を確認したとして、「紛争の解決」にどのような利益があるのか)の二つを満たしている必要があります。特に「確認の利益」に関しては4月1日付けで相良氏が高知大学学長に任命されたことにより、決定無効の確認そのものが無意味と見なされ「確認の利益無し」とされる危険が極めて高いと考えられます。そうなった場合は、不透明な学長選考を質すために私たちが求めている実質的な審理に入る前に,裁判そのものがうち切られる可能性が高いと予想されます。

したがって、裁判という場で学長選考の問題点の中身を継続して明らかにしていくためには、従来の民事訴訟とは別個に、「文部科学大臣による学長任命(4月1日付け)」に対し、それに異議申し立てをする新しい訴えを起こす必要があります。

3 新たに提起される裁判

@ 性格:行政事件訴訟法に基づく行政訴訟
A 内容:学長任命の取り消し請求
B 訴えの相手:国

以上のような状況を踏まえ、私たちは、行政訴訟という新しい段階に踏み込むことを決意しました。たしかに、「国」を相手の訴訟というのは誰にとってもいささかたじろがざるを得ないものです。また、原告適格の問題や民事訴訟との関係など解決しなければならない問題も山積しています。しかし、このまま事態の既成事実化、居直り、風化を許してはならないと私たちは考えます。裁判が新しい段階を迎えるにあたって、すべての高知大学構成員の皆さんに、これまで以上の支援を心から訴えたいと思います。


○ 第三回口頭弁論報告

5月30日(金)11:00から高知地裁において第三回口頭弁論が開かれました。

4月1日付け人事異動で新しい裁判長が本裁判を引き継いで担当することになりました。冒頭、裁判長は被告側に、学長の任命について事実確認を行い、相良祐輔氏が高知大学長に4月1日付けで任命されたことを口頭で確認しました。これを受けて、裁判長から今後の裁判の進め方について、原告、被告それぞれと別室で協議したい旨の提案があり、まず原告の高橋先生と原告側弁護団が裁判長と一緒に別室に移りました。これは刑事訴訟法では「進行協議手続き」と言うのだそうですが、被告側弁護団もやがて「タバコを吸いに」(被告側主任弁護士のお言葉?!)法廷から退室したので、法廷には傍聴人のみが残ることになりました。
 裁判所書記官らしき人の説明では「このまま30分くらい協議をして、そのまま解散となるか、または口頭弁論の再開と言うことになるかも知れません」とのこと。私たちは仕方なく、傍聴に来ていた人文学部のA先生(法学)の即席のレクチャーを受けながら待つことに。

30分ほどして高橋先生と弁護団が戻って来ました。高橋先生が原告席に戻りかけたので口頭弁論再開かと思ったのですが、これは荷物を取りに来ただけで、口頭弁論の再開は無し。その場で弁護団から簡単な経過説明がありました。つまり、学長の任命という事態を受けて、裁判長から今後の裁判の進行について提案があり、6月23日(月)の4:00から原告側被告側で協議(非公開)するとの事でした。

この日はそれで解散でした。第1回も第2回も民事訴訟の裁判とは何をやっているのかよく分からないものでしたが、第3回についても,ある人曰く:「今日の口頭弁論はあったと言うべきなのか、あるいは無かったと言うべきなのか?」という内容でした。

一面で述べたように、学長選考会議の決定という段階から文部科学省による相良祐輔氏の学長任命という段階への事態の推移に対応し、訴えの矛先を高知大学から国へ向け,裁判の争点を新たな「任命取り消し請求」に転換するのが妥当なことははっきりしています。その際,これまでの民事訴訟をどうするのかが当面の問題です。もちろん「和解」はあり得ませんから、門前払い覚悟でこのまま行くのか、それとも、別の道を考えるのか。そのいずれにしても、今後闘いの中心となる「任命取り消し請求」をより有効に進めて行くには,どのような方法が最善であるのかを慎重かつ前向きに検討する必要があるでしょう。