『高知新聞』2008年5月31日付

学長選考問題 高知大との訴訟取り下げへ
原告側 任命の国提訴準備


昨年の高知大学長選考で相良祐輔氏を学長に選んだ選考会議の決定無効を求め、高知大を訴えている教授らは30日、文部科学省が高知大学長に相良氏を任命したことから、訴えを取り下げる方向で検討に入った。今後は行政事件訴訟法に基づき、任命から6カ月以内に国を相手取り、相良祐輔氏の任命を取り消す訴訟を起こす方針。

同大の学長選考をめぐっては、昨年10月に行われた学内意向投票で、2通りの得票数が確認されたにもかかわらず、選考会議が相良氏再任を決めたことで学内が紛糾。選考無効を訴える教授らが昨年12月、「何者かによって票が差し替えられた」として被告人不詳のまま、高知地検に刑事告発するとともに、対立候補だった高橋正征氏=同大名誉教授=が民事訴訟を高知地裁に起こした。

これまで2回の口頭弁論が行われ、“原告の適格性”をめぐって双方の主張が対立。30日開かれた第3回の口頭弁論では主張を戦わせる場面はなく、相良氏が4月1日付で再任されたことから今後の方向性を原告・被告双方と裁判長が別室でそれぞれ協議した。

取材に対し、高橋氏は「裁判の大きな目的は、国立大学法人法下での大学の民主主義を問うこと。その中身の議論に入るためにも、次のステップに進みたい」と述べ、高知大に対する民事訴訟を取り下げる意向を示した。(広末智子)