『毎日新聞』2008年6月3日付

教育予算:「高等教育予算、やっぱり少ない」 財務省の主張に文科省が再反論


国が初めて策定する教育振興基本計画に関し、教育予算増などの数値目標明記を目指す文部科学省をけん制するため財務省が公表した反論書に対抗し、文科省は再反論書をまとめた。「生徒1人当たりの教育予算は主要先進国とそん色ない」と主張する財務省の分析を批判し、「高等教育などの1人当たり予算は、経済協力開発機構(OECD)平均を下回っている」と反論した。

財務省の主張の根拠は、生徒1人当たりの教育予算を国民1人当たりの国内総生産(GDP)で割った値で、文科省は「単純な解釈ができない」と疑問を提示。ドル換算で、日本は就学前1973ドル、高等教育5024ドルだが、OECD平均はそれぞれ3793ドルと8403ドルだとした。さらに「初等中等教育段階は先進国と同程度だが、教員の年齢上昇による人件費増などが要因」とした。

「教育予算が多ければ学力が高いわけではない」との財務省の見解には、「OECDの学習到達度調査(PISA)の結果では、1人当たり教育予算と学力に明らかな関係性がある」とのOECDの分析を紹介した。

財務省が「学力向上など教育成果こそ数値目標を」とした点は、基本計画案に「世界トップの学力水準を目指し、国際調査などで学力の高い層の割合を増やす」などの目標を盛り込んだと反論した。【加藤隆寛】