『毎日新聞』2008年5月29日付

教育予算:「GDP5%」で攻防 文科省増額方針、財務省は反発


09年度予算編成をにらんだ財務省と文部科学省の攻防が激化している。文科省や自民党文教族は近く閣議決定する「教育振興基本計画」に国と地方の教育支出額を「国内総生産(GDP)比5%」まで引き上げる方針を盛り込み、予算の大幅増額に布石を打つ考え。これに対し、財務省は「増額を認められる財政状況ではない」と反発。予算増額を伴わない独自の教育充実策を提言するなど、対決姿勢を強めている。

教育予算のGDP比は現在3・5%だが、文科省は同計画で「教育立国実現には欧米並み5・0%の水準が不可欠」と打ち出す方針。「ゆとり教育」の転換を名目に小中学校教職員定数を5年間で2万5000人増員することも計画する。

しかし、国の教育支出を5%に上げるには7兆4000億円もの財源が必要だ。財務省は「消費税3%分もの予算を教育だけに充てることに、国民の理解が得られるとは思えない」と反発している。少子化が進む日本の教育予算は、児童・生徒1人当たりで見ると欧米先進国にそん色がない水準にあることをデータで提示。教職員増員計画に対しても、教師1人が受け持つ授業時間数が欧米に比べて短いことなどを示して、反対の論陣を張る。

さらに、文科省が注力する国立大学の研究支援でも財務省独自の改革試案を公表した。

国立大の学費を私大並みに引き上げるなど措置を講じれば、国が現在国立大に配分している運営費交付金(08年度予算で計1・2兆円)の中から最大5200億円の財源が工面でき、世界的な研究支援などに振り向けられるとするアイデアを打ち上げた。【清水憲司】