『毎日新聞』千葉版2008年5月30日付

千葉大:園芸学部の西千葉キャンパスへ移転構想、松戸市長が反対要望書


千葉大学の園芸学部(松戸市)が、大学本部のある西千葉キャンパス(千葉市稲毛区)に移転する構想が持ち上がり、松戸市の川井敏久市長が斎藤康学長と菊池真夫学部長に今月相次いで面会し、移転をとどまるよう求める要望書を提出した。

移転構想は、西千葉キャンパスに隣接する東京大学生産技術研究所千葉実験所が移転の計画を打ち出したことに伴い、昨年夏、東大側から実験所の敷地約9ヘクタールの購入を打診され、持ち上がった。

千葉大によると、東大側にはすでに「敷地の全部または一部を取得する意思がある」と伝えた。6月末までに園芸学部が移転についての賛否を斎藤学長に提出し、来年3月までに最終結論を東大側に返答するという。

園芸学部移転は、他学部との連携が取りやすくなる一方、敷地(現在地は約15ヘクタール)が狭くなる面もある。また、移転の場合は敷地購入資金を得るため、現在地は売却される可能性が高いという。

同学部は1909(明治42)年、県立園芸専門学校として設立。来年は100周年を迎え、記念事業も企画されている。要望書の中で川井市長は「地域に根ざした歴史と伝統のある大学の移転は非常に大きな損失」としている。

同学部の移転は10年前にも持ち上がったが、松戸市の強い反対もあって中止になった経緯がある。【長谷川力】