『読売新聞』千葉版2008年5月29日付

千葉大園芸学部が西千葉へ移転構想
東大敷地 買収で


千葉大学が西千葉キャンパス(千葉市稲毛区)に隣接する東京大学生産技術研究所千葉実験所の敷地約9ヘクタールを購入し、そこへ園芸学部(松戸市、約15ヘクタール)の移転を検討していることが28日、分かった。千葉大は昨年夏ごろ、敷地を売却する方針を固めた東大から購入を打診され、すでに「全部または一部を取得する意思がある」と回答。千葉大としての結論を来年3月末までに東大に伝える。

現在、園芸学部が独自に移転の可否を検討しており、同学部としての結論を、6月末までに学長に回答することになっている。

千葉大によると、園芸学部の移転構想は10年ほど前にもあり、同じ東大の敷地が候補地となったが、財政上の問題や、松戸市などが強く反発したこと、国公立大の独立行政法人化を控えていたことなどもあって、東大が敷地を継続使用することで落ち着いた。

今回は東大の売却方針が固いことから、千葉大でも「西千葉キャンパスを拡大できる最後のチャンス」(千葉大財務課)として、購入する方針。園芸学部が移転する場合、現在の敷地は売却される可能性が高いという。斎藤康学長が4月、菊池真夫園芸学部長に、移転が考えられるかどうか検討を依頼した。移転しない場合は、東大からの敷地購入も小規模にとどまり、学生寮の移転や留学生の宿舎の用地などの用途が考えられるという。

千葉大園芸学部は来年100周年を迎え、卒業生などにより記念事業も検討されていたが、移転構想が持ち上がったことから、建物建設を伴う事業の検討は一時凍結されたという。

移転構想を4月下旬に知った松戸市は今月、川井敏久市長が「移転は市行政にも市民にも非常に大きな損失」として、菊池学部長と斎藤学長に園芸学部の松戸存続を要望した。