『北海道新聞』2008年5月30日付

北大、車に入構料 1回300円 来年から CO2削減、緑化


北大(佐伯浩学長)は二十九日までに、来年一月以降、キャンパスに出入りする車両から一回三百円の入構料を徴収することを決めた。車両の出入りを抑制して二酸化炭素(CO2)の排出削減を図ると同時に、有料化によって見込まれる年間約一億円の収入を、学内の緑化に充てる考え。広大なキャンパスを持つ北大は徒歩で訪れる観光客や市民も多いため、車の通行量を減らして学内の安全性を高める狙いもある。

北大は現在、一定の条件を満たした教職員や納入業者など日常的に出入りする車両に年間通行証を、一般来訪者や営業などの出入り業者に臨時通行証をそれぞれ無料で発行している。一方、観光目的や学生の通学利用は認めていない。

有料化は段階的に実施する。まず来年一月から臨時通行証を、大学が要請した講演者などを除き、有料化する。四月以降は、年間通行証にも年三万円前後の負担を求める方向だ。車両が出入りできる門には二十四時間、人員を配置する。

宅配便や郵便、大学が要請したタクシーの入構などは無料とするほか、既に時間料金制を導入している北大病院駐車場は現行通り。また、収益金の一部を構内循環バスの増便にも充て、来訪者の利便性を高める。

北大によると、臨時通行証でキャンパスに出入りする車両は、年間約五十二万台(二〇〇七年実績)。有料化により、約三割に当たる十六万台の削減を見込んでいる。

北大は、札幌駅から徒歩十分という中心部にありながら、南北に約二キロ、東西に約一キロという広さを誇る。このため、有料化すると観光や中心部での買い物のため、駐車場として利用する人が増えることも懸念される。

現在でも、臨時通行証での出入りには、訪問先を告げて事務局に印鑑をもらって出る必要があるが、印鑑をもらわないままキャンパスを出る車両も少なくない。北大は、これら車両に対する対策も検討する。

佐伯学長は「北大は多くの市民の憩いの場でもあり、静かで安全なキャンパスにしたい」と有料化の狙いを話す。

道外の主要な国立大学法人では、東大が四月から車両入構を有料化したほか、名古屋大、大阪大が既に実施。道内の国立大学法人では、旭川医大が一時間二百円の駐車料金を徴収している。