『京都新聞』2008年5月24日付

京大の新総長に松本氏
研究所長出身で初


京都大は23日、次期(第25代)総長に、研究・財務担当理事の松本紘(ひろし)副学長(65)を選んだ。任期は10月1日から6年間で、再選はない。教育研究における国境を越えた大学間の激しい競争や、「地盤沈下」が指摘される京都、関西の現状の中で、「自由の学風」など京大らしさを生かした大学運営が課題となる。

尾池和夫総長(67)の任期満了に伴う法人化後、初めての総長選考。学内の部局代表や学外委員などで構成する総長選考会議が、教職員による投票で過半数を得た松本副学長から、この日あらためて抱負を聞き、満場一致で次期総長に選んだ。

松本副学長は京大工学部卒。同助手などを経て1987年から超高層電波研究センター教授。センター長、生存圏研究所長などを歴任し、2005年10月から現職。専門は宇宙プラズマ物理学で宇宙太陽発電研究の第一人者として知られる。

理事として産学連携や競争的研究資金の獲得、知財の確立などを推進、昨年からはiPS細胞研究の基盤整備も担当し、iPS研究センター設立の中心となった。

学部・研究科長ではなく研究所長出身の総長は、京大111年の歴史で初めて。

選出後の会見で松本副学長は「自由の学風、自学自修など京大の伝統を守りつつ、革新と創造で元気の出せる大学にしたい」と抱負を述べた。