『朝日新聞』2008年5月25日付 声欄

国立大の学費私立並みとは
主婦 中本 英子(東京都新宿区 47)


財務省の19日の財政制度等審議会で、国立大学予算について出された試案に驚いた。私立大並みに授業料を引き上げ、5200億円を捻出すべきだというのだ。

この案は国が人材育成を放棄したいといっているのと同じことだといえる。

この国は国土も狭く大規模農業経営ができるわけでも、石油や豊かな鉱物資源があるわけでもない。人々の絶えぬ努力、創意工夫で生きていかねばならない国だ。

能力や意欲のある多様な国民が教育を受けられ、優秀な人材を育成していくのが国の責務だ。

学資のため高校進学や大学進学をあきらめたクラスメートを何人も知っている。現在でも子供の教育費の負担は非常に重い。公立・私立にかかわらず教育費の負担が軽減され、少人数教育など教育内容を充実させるための財源を確保するよう本来なら財務省は奔走すべきではないのか。

奨学資金も借りれば返済しなければならず、私も返済に何年もかかった。やはり授業料が安く、安心して進学できる仕組みであってほしい。