『読売新聞』2008年5月22日付

法科大学院、10校で定員減を検討
授業料収入より「質」確保


2004年4月にスタートした全国74校の法科大学院のうち少なくとも10校が、定員減を検討していることが読売新聞の聞き取り調査でわかった。

福岡大は22日、全国で初めて20人の定員減を文部科学省に届け出る。法科大学院が乱立気味で定員割れが相次いでいることに加え、昨年の新司法試験の合格率が全体で4割と低迷していることが背景にある。各校が水準低下を防ぐため、授業料収入減を覚悟で少人数教育を選択せざるを得ない状況だ。

調査は先月下旬〜今月上旬に実施。姫路独協大と愛知大を除く72校から回答があった。

福岡大は来年度から1学年の定員を50人から30人に変更する。同大の昨年の新司法試験合格者は6人で、定員の12%。今年度入試では、追加合格者を含めた入学者は定員より15人少ない35人だった。山下義昭院長は「少人数教育で、今より多くの法律家を輩出したい」と話す。

また、関東地区と関西地区の2校がそれぞれ調査に対し、匿名を条件に定員減を具体的に検討中と回答したほか、学習院大や神戸学院大、中京大など計7校が、具体的ではないが定員減を検討していると回答した。

複数の大学院関係者は「目先の授業料収入より、優秀な学生の確保を優先しなければ生き残れない」と話した。