http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0509/item5.pdf

教育の大胆な国際化を 〜「留学生30万人計画」の実現に向けて〜

平成20年5月9日
伊藤隆敏
丹羽宇一郎
御手洗冨士夫
八代尚宏

「留学生30万人計画」の実現に向けて、2010年までの3か年を「集中改革期間」として、以下のとおり、取り組みを加速すべきである。

1. 「グローバル30(国際化拠点大学30)」の選定

留学生の受け入れは、「グローバルに活躍できる内外の人材育成」のためのカギである。これまでの“日本語による日本人と同等の教育”を転換し、日本語を必要としない教育を提供すべきである。このため、留学生受け入れの拠点となる質の高い国公私立大学をコンペ方式で全国・各分野トータルで30校程度(グローバル30)選定し、以下の措置を講ずるべきである。

@ 留学生が授業を英語で受け、英語で卒業できるコースを(これまでの日本語の授業と並行)設ける。

A 内外の大学によるネットワークを構築し、交換留学、単位互換、ダブルディグリーに取り組む。

B 内外無差別に教員の国際公募を行い、優秀な教員を採用する。英語による教育コースは、欧米の一流の大学のコースと同レベルの教育内容を確保できるような教員採用とカリキュラム設定を行う。

C 当該コースは9月入学を原則とする。
*文部科学省が策定する国立大学法人に対する中期目標に明記するなど。

D 海外校(学部など教育課程を有するオフショアキャンパス)や留学生のリクルートのための海外におけるワンストップ拠点*を展開し、大学が海外で直接留学生をリクルート・選抜できるようにする。
*例えば、ブリティッシュカウンシル(英国の公的な国際交流機関)は109か国で6,000人のスタッフを擁している

E 支援措置を重点化する
・ 国立大学運営費交付金、私学助成金に留学生教育の質と量に関する要素を反映させる、競争的資金の傾斜配分を行う、など支援を重点化する。
・ 留学生教育については、国立大学法人の授業料設定を自由化・弾力化する。
*授業料収入が増加しても国立大学法人運営費交付金を減額しない旨周知徹底する。
・ 授業料免除や大学独自の奨学金等を支援するため、大学に対する寄附税制の充実について検討を行う。

2. 留学生の就職支援

@ 「ジョブカード」を活用して、留学生の日本企業への就職を、産業界、大学、政府を挙げて支援すべきである。

A 留学生の日本企業への就職を円滑化するため、以下の点を中心に在留資格の見直しを行うべきである。
・ 現状では、留学生が英文学卒業であれば、「人文知識・国際業務」のビザが発給されるが、就職に際して限定的すぎるとの指摘がある。総合職のビザを発給できないか。
・ 在留資格の延長が図れないか。
・ 就職・起業のための継続在留(180日間)が短すぎるとの指摘があるので延長できないか。
・ 「就学」と「留学」の区別を引き続き維持する必要性が薄いようであれば、一本化すべきではないか。

B 産学官で連携して留学生の日本企業への就職相談窓口を拡充すべきである。

3. 英語教育の強化 教育再生懇談会において、以下の点について早急に検討いただき、可能なものは『基本方針2008』に盛り込むべきである。

@ 英語教育(会話能力を重視)を小学校低・中学年から必修化すべきである。小学校での英語教育は、外国人や英語能力の高い社会人を活用することで実施すべきである。
*ドイツ:小学1年から、韓国:小学3年から、中国:小学3年から

A 中学・高校の英語教員の質を向上させるために、次の取組みを行うべきである
・ 教員の資格要件として英検1級以上の取得を義務づける
*我が国の英語教員のうち、英検準1級以上を取得しているのは、中学の英語教員の25%、高校の英語教員の46%にとどまっている。
・ JETプログラム*の大幅拡充等により、外国人や英語能力の高い社会人をさらに活用すべきである。
*JETプログラムは、小中高校において語学指導助手を行う外国語青年を全国の自治体が招致・配置している事業で、41ケ国5,119 人が参加している。