『毎日新聞』2008年5月13日付

教育関連予算:教育費増額要求に反論 財務省「欧米とそん色ない」


渡海紀三朗文部科学相や自民党の文教族議員が、教育関連予算の対国内総生産(GDP)比を大幅に引き上げるよう政府に働きかけていることに対して、財務省は12日、欧米各国などの詳細なデータを盛り込んだ反論書を公表した。この中で、財務省は「少子化が進む日本とそうでない他の国のGDP比を単純に比べても意味は無い」と主張。その上で「生徒1人当たりの教育費で見ると、日本は主要先進国とそん色なく、数値目標を掲げるなら、予算の投入量ではなく、教育による成果にこそ適用すべきだ」と、「教育予算のバラまき」を強くけん制した。

教育予算の拡充は、政府が今後5〜10年の方策を示す「教育振興基本計画」作りの焦点。文教族は財政再建がハードルとなり、計画に予算拡充の数値目標が盛り込まれずにいることから、4月下旬以降、巻き返しを開始。渡海文科相も9日、「現在GDP比3・5%の教育費を今後10年間で経済協力開発機構(OECD)諸国平均の5・0%へ引き上げるべきだ」とぶち上げた。

これに対し、財務省は反論書で「1人当たり教育費」を算出すれば、先進国中で米国に次いで2番目の公的教育支出国になると指摘。「欧米のように、教育でどんな子どもを育てるのか、学力向上や規範意識など成果にこそ数値目標を設けるべきだ」と訴えた。

5・0%目標に必要な財源7兆4000億円の手当ても「全く考えられていない」と批判した。【清水憲司】