時事通信配信記事 2008年5月1日付

留学専門機関の創設案も=中教審特委


中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)大学分科会の留学生特別委員会は、福田康夫首相が掲げる「留学生30万人計画」の骨子策定に向けた基本的な考え方をまとめ、優秀な留学生獲得のための方策など具体的な議論に入った。日本への留学情報を扱う専門機関の創設などに言及している。5月末にも骨子を固め、留学生受け入れ拡大の具体策を盛り込んだアクションプランをまとめる方針だ。

現在、日本への留学生は年間13万人程度だが、「30万人」は2020年を目途に実現するのが目標。「留学生」は出入国管理法の定める在留資格を持ち大学、大学院、専修学校などに在学する外国人を指すが、「留学生予備軍」として、日本語を学ぶ「就学生」や高校留学生への配慮も視野に議論を進める。

骨子の考え方では、留学生受け入れの留意点として、大学院への留学生が増加傾向にあることから、学部レベルと博士・修士課程を区別した目標設定が必要と指摘。また、アニメ、漫画、ゲーム、ファッションといった日本のポップカルチャーへの関心が大きな留学動機になっていることも認識すべきだとしている。

その上で、留学生獲得に向けた検討課題として、(1)大学での英語による授業の増加(2)留学情報を提供し、留学生をリクルートする英国の「ブリティッシュ・カウンシル」のような機関を創設(3)奨学金制度の見直しや宿舎の整備(4)海外も含めた日本語教育拠点の整備促進―などを例示している。また、手続きが過度に煩雑となることで留学生の意欲をそがないよう、入国審査にも格段の配慮が求められると指摘している。

留学生獲得の対象エリアは、アジア、欧米、アフリカ、中東など幅広く想定。ただ、留学生の関心事項は多種多様な上、国費で来たり私費で来たりまちまちであるため、委員からは「地域ごとの対策が必要」「(経済的理由で)来たくても来られない人に着目した戦略が必要だ」との声が上がっている。