『毎日新聞』2008年4月3日付

教育振興基本計画:教員増、数値盛らず 中教審部会、答申案まとまる


06年12月に成立した改正教育基本法で策定が義務づけられた「教育振興基本計画」の答申案を、中央教育審議会の特別部会が2日、まとめた。今月中旬に開く同審議会総会を経て、渡海紀三朗文部科学相に答申し、今月中にも閣議決定される見通し。焦点だった教職員定数増へ向けた予算確保の具体的な数値目標は盛り込まれず、委員からは不満の声も出た。

答申案は、▽道徳教材活用のための国庫補助制度の早期創設▽幼稚園と保育園の両機能を持つ「認定こども園」を早期に2000件以上にする▽2020年をめどに「留学生30万人計画」を実現▽生涯スポーツ環境を整備し、成人の週1回以上のスポーツ実施率を50%とする▽大地震で倒壊の危険性が高い小中学校など1万棟の耐震化を優先支援する−−などを盛り込んだ。

また、答申案は今後5年間で中心的に取り組む施策の一つとして、学習指導要領の改定と着実な実施を挙げ、「新指導要領の円滑な実施を図るため、教職員定数の改善をはじめとする条件整備を着実に実施する」とした。一方、「財政は大変厳しい。歳出改革の努力を継続する必要があり、施策の選択やコスト縮減が必要」とも記している。

文科省には当初、基本計画で予算確保の数値目標を定める狙いがあったが、財務省との交渉は難航。答申案は「意気込み」を示すだけにとどまり、一部の委員からは「これで『何かが変わる』との印象を受けない」などの声も出た。【加藤隆寛】