『朝日新聞』2008年4月3日付

福井大病院へ医療機器代を寄付 福井・勝山、大野両市


出産を扱う医療機関ゼロの福井県勝山市と隣接の同県大野市が3日、福井大医学部付属病院(同県永平寺町)に医療機器の購入代として各250万円を寄付した。同病院は両市の妊婦の分娩(ぶん・べん)のほぼすべてを受け入れている。地方自治体から国立大への寄付は、先月19日に地方財政再建促進特別措置法施行令が改正され可能となった。総務省によると、改正後の寄付は初めて。

大野市では分娩できる病院が00年6月になくなり、勝山市内の病院でも医師不足で07年4月に分娩業務を停止した。このため両市と連携した同付属病院が同月から分娩を担っている。この1年間で両市の妊婦二十数人を受け入れたという。

同付属病院の産科婦人科は医師13人体制。連携成立までは切迫流産などの異常分娩だけを手がけていたため、普通分娩に必要な胎児集中監視システムや追加の超音波診断装置を約2千万円で導入した。勝山市の山岸正裕市長は「わが市が必要としていることをやってもらうのに資金を出すのは当然」。同病院の小辻(こ・つじ)文和・産科婦人科長は「大学と両市との関係は、産科医不足を解決する先例になるだろう」と話している。