http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/008.pdf

道州制の導入に向けた第2次提言
― 中間とりまとめ ―

2008 年3月18 日
(社)日本経済団体連合会

抜粋(新首都圏ネット事務局による)

3.道州制のもとでの国、道州、基礎自治体の役割
(1) 国の役割について「選択と集中」を図り中央省庁を解体・再編する
 道州制のもとで国が専管事項として果たすべき役割は、対外的分野、市場の機能円滑化・発揮のためのルール整備、最低限のセーフティネットの整備などに「選択と集中」を図り、国益を重視した政策の展開を機動的に行えるようにする。これに伴い、現在12 府省ある中央省庁を半数程度に解体・再編する。内政の多くの施策は、立案・実施とも道州および基礎自治体が主体となって担うことになる。そうした内政分野における国全体の基本戦略・計画や統一的な政策の方針・基準策定は、必要最低限のものとし、内閣府にそのとりまとめの機能を集約する。

〔国の果たすべき役割〕
− 外交、防衛、危機管理、出入国管理、貿易管理・通関、司法、為替政策、マクロ経済政策、通信・放送政策、食料・資源・エネルギー安定確保、地球規模の環境保全・資源循環、環境基準、市場のルール整備、国の競争力および社会の安定に関わる基本戦略・計画の策定、社会保障・雇用施策等のセーフティネット整備、教育の枠組み整備

(2) 内政においては道州、基礎自治体が主体となり政策を立案・実施する
 国の専管事項を除く政策・行政分野については、道州、基礎自治体それぞれが独自の行政権を行使しうる体制を財源面、法制面両面から整備する。「3割自治」「4割自治」と言われる現状を打開し、道州および基礎自治体が必要とする財源の少なくとも7割程度を、地方税を中心とした自主財源で賄うことができるよう、国・地方を通じた抜本的な税財政改革を行う。
 国と地方の関係については、第2次地方分権改革や道州制の導入を通じて、真の対等・協力関係を構築する。国の事務については、国の新たな役割に応じて権限・財源を大幅に道州に移譲し、あわせて地方の事務・事業に対する国の関与を限定することで、道州は完全に自立した自治体となることを目指す。その結果、道州の組織形態や事務・事業などについても、柔軟性・多様性が認められることとなる。
 道州は、国や基礎自治体と緊密に連携、協議しつつ、地域経営の視点から社会の安定、安心・安全の確保、経済の発展に資する以下の政策分野の施策を立案・実施する役割を負う。
 基礎自治体は、近接性の原則に基づき、住民に最も身近な行政サービスの主たる担い手として、住民自治の実現という観点では最も重要な役割を果たすことになる。そのため、基礎自治体の機能を強化することが求められるが、補完性の原則にしたがい、広域的な対応が必要なサービスなどについては一部を道州が実施する。

〔道州・基礎自治体の果たすべき役割〕
− 地域発展戦略の策定、産学連携を中心とした産業集積政策の立案・実施、雇用・人材育成政策、初等・中等・高等教育の実施、大学・高等専門学校の管理運営、道路・空港・港湾などインフラの整備・運用管理、河川・森林の広域的管理による国土保全、水資源の管理、農業振興政策の立案・実施、観光政策・観光振興、文化振興、生活や地域に密着した廃棄物処理、大気汚染などに関する広域的な環境対策、治安・安全の確保、消防、大規模災害への対応、医療・介護など社会保障制度の運営、福祉・保健に関する各種施設の設置、子育て支援、景観整備、まちづくり、地域ブランドづくりなど
 なお、これまで各府省の地方支分部局が担当していた事務事業は、財源、人員とともに道州へ移管することを原則とする。地方支分部局の廃止・縮小を通じて、国と都道府県、都道府県と市町村の二重行政をそれぞれ解消することが重要である。これにより、政策決定が迅速化されるとともに、効率的な行政運営が可能となる。