『毎日新聞』2008年3月24日付

道州制:ビジョン懇が中間報告 課税自主権を盛り込む


政府の「道州制ビジョン懇談会」の江口克彦座長(PHP総合研究所社長)は24日、課税自主権や立法権を持った「地域主権型道州制」の導入を柱とする中間報告を増田寛也総務相に提出した。基礎自治体も含む区割りと税財政制度については、新設する専門委員会で検討したうえ、09年度中にまとめる最終報告に盛り込む。道州制基本法を2011年の通常国会に提出し、18年まで導入するよう政府に求めている。

中間報告は、現在の中央集権体制、東京一極集中が「国全体の活力、国力を大きく低下させた」として、各地域がさまざまなことを独自に決定できる地域主権型道州制への転換を提言。国家の統治機構を「国」「道州」「基礎自治体」の3層制とし、国の役割を外交や安全保障、通商政策など16項目に限定した。基礎自治体は福祉や教育、下水道など地域に密着したサービスを行うとしている。

道州は▽広域の公共事業▽大学以上の高等教育▽産業振興▽雇用対策▽電波管理などを分担する。課税自主権や道州債の発行を可能にする。1院制の議会も設け、首長と議会議員は住民の直接選挙で選出する。議会と行政庁の所在地は各道州が決定する。道州や基礎自治体間の新たな財源調整制度は専門委員会で検討する。

道州制基本法の実施機関として首相や閣僚、経済団体代表、有識者から成る「道州制諮問会議」、その支援機関として自治体の首長や市民、有識者などで構成する「道州制推進会議」を設け、国民の理解と協力を求める。【七井辰男】