時事通信配信記事 2008年3月17日付

国立大への寄付制限を大幅緩和−政府


政府は、地方自治体から国立大学などへの寄付制限を大幅に緩和し、自治体が保有する土地・建物の無償譲渡や国立大学付属病院への助成などを認める関係政令を決定した。市町村が総務相と寄付に関する協議を行う場合に書類提出を都道府県経由で行う従来の手続きも簡素化し、国に直接提出できるように改める。同政令は今週中に公布・施行される予定だ。

現行の地方財政再建促進特別措置法は、自治体が国立大学など国に対して負担金や寄付金を支出することについて、「自発的寄付」といった名目で国が自治体に負担を「肩代わり」させることなどを防ぐため、法令に根拠がない限り原則的に禁止している。

ただ、同法施行令により、土地など財産譲渡については同様財産との交換の場合に限って容認。また、国立大学が自治体の要請に基づいて地域の産業振興に寄与する研究開発を行う場合などには、自治体が総務相の同意を得て必要な経費を支出することを特例として認めてきた。

しかし、各地域の実情に応じて地域活性化策などをより機動的に実施できるようにするため、総務省は2007年末、政府の地域活性化統合本部の「地方再生戦略」に基づき、国立大学などへの寄付制限を緩和することを各自治体に通知。これにより、愛媛県愛南町が遊休庁舎を活用して愛媛大学と連携した水産研究センターを設置、同大学に無償貸与する寄付協議が既に成立している。

今回の改正政令では、自治体が保有する土地・建物の無償譲渡を規定するほか、地域医療を支える国立大学付属病院が救急救命センターを設置するといった場合に、自治体が設備費などを助成することも認める。 また、寄付協議に関する手続きも大幅に簡素化。市町村が総務相に提出する関係書類を都道府県を経由せずに直接、国に提出できるようにする。

さらに、自治体のインキュベーター施設(起業化支援施設)での賃料補助事業などで、従来は入居法人が変わる都度に必要だった総務相との協議も簡素化し、一定の事業類型について事前協議を一度行えば、それ以降は事業類型に沿っている限り同意書を交付するという簡易手続きに改める。