『読売新聞』2008年3月16日付

学部長30万・教授10万、横浜市大医学部の学位謝礼に相場


横浜市立大医学部(横浜市金沢区)の学位取得を巡る謝礼授受問題で、嶋田紘(ひろし)医学部長(64)の研究室に所属し、現金を渡した大学院生らが2000年〜07年に少なくとも約20人にのぼり、嶋田学部長は30万円、学位取得を審査する主査、副査の教授ら十数人は10万円が相場だった実態が、関係者の話でわかった。

大学院生らは一人で2〜3人に支払い、最高で計50万円にのぼっていた。横浜市大は05年の公立大学法人移行を機に贈答行為などを禁じる通知を出し、06年以後、他の教授らとの授受はほとんどなくなったが、嶋田学部長は受け取りを続けていた。

横浜市大コンプライアンス(法令順守)推進委員会も同様の事実を把握し、00年以前を含め、さらに授受の有無を調べている。

複数の関係者によると、嶋田学部長(第2外科)の研究室では、学部長就任(05年4月)前の00年から、07年までに大学院生ら二十数人が学位を取得した。

学位認定は主に、別の診療科の教授クラスが主査、准教授クラスが副査を務めるが、01年の学位取得者の1人は主査、副査2人にそれぞれ10万円の計30万円を渡していた。05年の学位取得者のうち2人はそれぞれ、主査に10万、副査に10万、この時副査だった嶋田学部長にも30万円を渡していた。2人の謝礼額は各50万円に上った。

ただ、渡された10万円のうち5万円や1万円だけ受け取ったり、受け取りを拒否したりした教授らもいた。

嶋田学部長は、コンプライアンス推進委に謝礼についての内部通報があった昨年11月ごろに謝礼の受け取りをやめたとみられ、その後、一部は返却を始めている。嶋田学部長は謝礼について、学位を取得するまでに参考文献の購入など多額の経費が必要なことをあげ、「預かったもので、研究報告会や懇親会、学位取得者への記念品などに使った」と説明している。

しかし、関係者によると、記念品は2万円程度の盾や置物だったといい、謝礼としては高額なこともあり、同推進委は使途などを詳しく調べている。