『神戸新聞』2008年3月9日付

阪大の研究拠点が完成 尼崎臨海地区


持続可能な社会(サステイナビリティ)の実現を目指す大阪大学の研究拠点が八日、尼崎市の臨海地区に完成し、開所式が開かれた。同地区への研究施設の立地は初めて。関係者らは「日本の環境対策をリードする発信拠点に」と期待していた。

新拠点は「サステイナビリティ・デザイン・オンサイト研究センター」。敷地約三千二百平方メートルで、研究室や地域交流スペースなどが入る二階建ての研究交流棟(約五百四十平方メートル)を建設。センター長には盛岡通・大阪大学大学院工学研究科教授が就任した。

企業や地域と連携し、バイオマス(生物資源)から石油並みのエネルギーを取り出す研究のほか、製品デザインや住宅関連などの研究も行う。

同センター名の「オンサイト」は「課題を抱える地域で解決に向けた研究に取り組む」の意味。同地区では、公害問題を教訓に環境保護などを通じた地域再生事業「尼崎21世紀の森構想」が進められており、同センターが立地を決めた。

開所式には井戸敏三兵庫県知事らが出席。豊田政男・大阪大学大学院工学研究科長が「阪大の英知を集め、価値ある研究成果を発表したい」と抱負を語った。(段 貴則)