『福井新聞』2008年3月2日付

教職大学院課題探る 福井大 シンポに1期生ら130人


教育現場で中核を担う中堅教員や実践的な指導力を備えた新人教員を養成するため、福井大などが4月に開設する「教職大学院」など教育改革を考えるシンポジウムが1日、福井市の同大文京キャンパスで始まった。県内外の教員や同大教職大学院(教職開発専攻)の第1期生ら約130人が、今後の課題などを探った。

2日間の日程で、初日は「知識基盤社会に生きる力を培う教育と教職大学院の課題」がテーマ。中教審の専門職大学院ワーキンググループで主査を務めた前宮城教育大学長、横須賀薫氏、教職大学院の制度設計に携わった文部科学省生涯学習政策局の新田正樹氏、福井大教育地域科学部教授の松木健一氏が、同大学院創設の意義や今後の課題について話した。

松木氏は、全国で教員養成改革が進まない背景として、伝統的学習観や教師観、学術的研究などへの「とらわれ」があると指摘。福井大教職大学院の在り方として、大学教員の意識変革を掲げ、学校現場での事例を中心とする演習を基本に「実践」「省察」「再構築」などのサイクルを院生自らが体験できるカリキュラムづくりを進めるとした。

今後の方向性として「教職大学院間の協働の実現が不可欠」と強調。担当教員の研修機構や相互評価システム機能などネットワーク構築の必要性を挙げた。

新田氏は、既存の修士課程と教職大学院との違いや実践的指導力とは何かを明確にしていく必要があると指摘。横須賀氏は「大学ではなく、学校現場の中で生き残っていける大学院にしなければならない」と話した。

この後、参加者の大学教員は「スタッフの力量形成」、小中高校の現職教員は「学校における協働研究」をテーマに、小グループに分かれ事例発表や意見交換を実施。2日も引き続きグループ討議を行う。