『北海道新聞』2008年3月1日付

人工頭脳開発に道筋 分子情報生命科学で北大など4機関、共同研究へ


北大大学院理学研究院の分子情報連携研究センター(センター長・魚崎浩平教授)は二十九日、理化学研究所(埼玉県和光市)、大阪大、九州大の各研究機関と、人工頭脳などの開発につながる「分子情報生命科学」の研究推進を目的とした連携協定を締結した。

分子情報生命科学は、生物固有の現象を分子レベルで解明し、その原理を応用した機器の開発を目指す新しい研究分野。

現在、分子がどのような要因で自らを組織化して細胞をつくるかや、筋肉や臓器など異なる働きを持つ体内組織となって一つの生命を構成していくかという原理は分かっていない。このメカニズムが解明できれば、人工筋肉や、人間の脳のようにあいまいな回答を導き出せるコンピューターの開発につながるという。

北大によると、協定は研究者交流と人材育成が柱。これまで各機関が独自に進めてきた研究を「共同研究」に位置づけ、研究手法やデータなどの情報交換のほか、器材や解析技術を相互利用する。大学院生ら若手研究者が他機関の研究に参加するスクーリングも実施する。北大は今後、分子情報生命科学分野の共同研究参画者を学内の医学や数学、工学など各分野の研究者にも広げていく計画だ。