『京都新聞』2008年2月28日付

京の旬野菜、“恋人探し”へ
「京の食」研究発信へ 京大・京都市連携


京都大と京都市は27日、旬の野菜を主役にした健康でおいしい「京の食」の日本と世界への発信をめざす連携協定を締結した。同日、京料理や京野菜関係者も参加してプロジェクト会議が発足、「京の旬野菜・恋人探しプロジェクト」と題して、野菜をおいしくするだしの研究や、旬の野菜を食べる朝食、離乳食などの提案と普及を進める。

京料理やおばんざいの主役である旬の野菜を取り上げ、京大が素材や調理・加工技術、食文化などを先端科学で解析し、世界の健康をめざす「京の食」モデルを創出。京都市は、京の食に関する調査と「京の食」モデルの情報発信と普及活動を進める。「京の食・創生プロジェクト会議」を中心に、2009年度までの活動を予定している。

プロジェクトでは、四季折々の京野菜の味を引き立てるだしの研究▽野菜とごはんを食べる朝食のレシピ作成と試食会の実施▽野菜を主役にした離乳食や新料理の創作と提案−などを計画。シンポジウムやホームページで情報発信を進める。

この日の会議には、日本料理アカデミーの高橋拓児さん(京料理木乃婦専務)、新京野菜の会の石割照久会長らも出席。地産地消の安全でおいしい旬の野菜づくりの大切さや、ライフスタイルの提案などについて意見を交わした。

座長の伏木亨京大農学研究科教授(栄養化学)は「食の安全性への不信感や自給率の低下、伝統的文化の喪失や次代を担う子どもたちの食の頼りなさなど、多くの問題が噴出している」とした上で、「京都の野菜には、世界の料理の大切な部分を担う力がある。日本の食文化の中心であった京都が、これからもリードしていきたい」と抱負を述べた。