『西日本新聞』2008年2月25日付

小児科、産婦人科医不足の病院へ 臨床研修医を派遣 大分大に委託県が新年度から


県は2008年度から、大分大学医学部で3年間の後期研修を受ける小児科と産婦人科の臨床研修医を一定期間、両科の医師が不足する病院に派遣する事業に乗り出す。10年度までの3年間で本格運用に向けた課題を探る。

県内では津久見中央病院で小児科医がゼロ。産婦人科医は中津市民、国東市民の2病院で1人もいない。両科での医師不足が県内で深刻化している。

県は07年10月、両科の後期研修を県内で受ける研修医に対し、研修費として月15万円貸す制度をスタート。研修後に県内に1年間勤務すれば返還を免除している。07年度は13人が貸与を受けているが、研修先は大学病院など都市部の病院が大半という。

このため、08‐10年度は研修医を都市部の病院でなく、医師が不足するへき地医療拠点病院などに派遣。大学の医師が派遣病院を巡回し、研修医を指導する。08年度は派遣数は小児科、産婦人科にそれぞれ1人ずつだが、09年度以降は派遣数を増やし、期間や受け入れ態勢など仕組みをつくる。

県は、新年度一般会計当初予算案に大分大医学部への委託費約2700万円を盛り込んでいる。

一方、県は、医師だけでなく、都市部の病院への偏在が指摘される看護職員の確保にも本格的に乗り出す。今夏には看護職員の就業実態を調査。看護職員の偏在状況を確認する一方、へき地病院などでの看護職員の求人状況を把握する。新人看護職員の離職を防ぐカウンセリングも開催する。