『神戸新聞』2008年2月23日付

感染症分野で連携大学院 県立環境研と神戸大


新型インフルエンザなど対策が急がれる感染症分野の調査研究に官学連携で取り組もうと、兵庫県立健康環境科学研究センター(健環研)と神戸大は四月、同大学大学院医学研究科に「連携大学院」を開設する。感染症分野では近畿初といい、両者は二十二日、神戸市兵庫区の健環研で協定書を交わした。

連携大学院は、国・県や民間研究機関の研究者が客員教官として学生を指導する制度。高度な研究設備や資源の活用、人的交流を通じた大学の人材育成、研究範囲の拡充などが目的で、医学研究科では五講座の計六分野・部門に開設されている。

神戸大は二〇〇七年度からインドネシアを拠点に鳥インフルエンザや肝炎の研究を進めるなど、感染症分野に力を入れている。新興感染症のパンデミック(世界的流行)が懸念される中、さらなる研究推進に向けて健環研が持つウイルスや細菌の検出・解析技術に着目。昨夏、連携を申し入れていた。

今回、連携大学院が設置されるのは微生物感染症学講座の「感染症フィールド学」。健環研の研究員二人が客員教授、准教授にそれぞれ就任し、講義と研究指導に当たる。また、健環研では院生の実習授業として、県内の医療機関や保健所から搬入される病原体検査などを研究員とともに行う。

協定書の調印式には健環研から山村博平所長、神戸大から千原和夫医学系研究科長が出席。山村所長は「日常的な検査で培った技術や知識を伝えるとともに、大学からは研究面での理論などを学びたい」とし、千原科長も「感染症が国際的な問題になっている中で、世界からも注目される連携大学院にしたい」と話していた。(今泉欣也、土井秀人)