『朝日新聞』2008年2月24日付

東大に財界が基金 トヨタなど15社、120億円


東京大学の国際競争力を高めるため、三菱東京UFJ銀行やトヨタ自動車など大手15社が計120億円の基金をつくり、運用益の一部を毎年、大学側に寄付することになった。東大の首脳が23日、計画を明らかにした。東大は、優秀な留学生を招くための奨学金などに寄付を生かす考えだ。国の十分な財政支援を期待できないため、経済界から広く支えてもらう態勢をとる。

協力するのは両社のほか、電機や化学、電力など各業界の有力企業。各社が5億〜15億円を出しあい、三菱UFJ信託銀行に運用を委託、今月下旬にもスタートする予定。

目標利回りは年3.5%程度。比較的安全な国内債券を中心に運用し、各社が得た収益の一部を毎年、東大に寄付する。運用不調のときは、各社が損失のリスクを負うものの、好調のときには企業側にも収益が入る仕組みだ。目標通りの利回りなら毎年、2億5000万円ほどが東大の寄付収入になるようにする。

欧米や豪州の有力大学は、寄付や国の支援による潤沢な資金をテコにアジアの有望な学生招致に乗り出しており、東大は危機感を募らせていた。小宮山宏総長ら首脳陣が各社を回り、支援を要請。企業側にとっては社会貢献にもつながることから、基金が実現した。

東大はすでに基金の2次募集を始めているほか、運用方法の違う基金を別途募ったり、一般の人からも資金を信託、運用、寄付してもらう仕組みを検討したりしている。こうした様々な基金を集め、東大としての運用総額を08年度中に500億円、10年以内に2000億円にまで拡充したい考えだ。