『西日本新聞』2008年2月20日付

山口市と県立大学 包括的連携で協定調印 大学の知恵を施策に反映


山口市と山口県立大学(山口市桜畠、江里健輔理事長)は19日、包括的連携・協力に関する協定書に調印した。人的・知的資源の交流や活用、相互協力を強化するほか、大学の研究機能やネットワークを行政施策に反映させ、地域と大学の活性化を目指す。

同大は2004年、旧徳地町(現・山口市)と連携協力協定を交わし、人材育成講座や地域の文化資源の掘り起こしに取り組んだ。06年の独立行政法人化に伴い、地域社会との連携を重視する「地域貢献型大学」化を鮮明にした。こうした実績や姿勢が、合併後の地域振興や人材育成で行政の発想を超えた施策を模索していた山口市の思惑と一致した。

協定には、教育・文化の振興、人材育成、保健福祉の向上、地域づくり・産業振興、国際交流などの分野での相互協力を盛り込んだ。具体的には子育て支援、高齢者健康づくりプログラムの開発・実施、地域再生支援活動、国際交流活動の共催などを想定している。

調印式では、江里理事長は「地域貢献型大学として大きな機能を果たす礎にしたい。地域とどう密着するかが鍵だが、積極的に多彩な分野に取り組んでいきたい」と意欲を語った。これを受け渡辺市長は「中山間地域づくり、国際化、まちとしての価値の創造などで大学の研究開発能力を吸収し、施策に結び付けたい」と期待をにじませた。