『神奈川新聞』2008年2月14日付

軟骨再生へ新技術/富士ソフトが東大との産学連携で


ソフト開発大手の富士ソフト(横浜市中区)は十四日、東京大学医学部附属病院(東京都文京区)との産学連携事業として開発している、先天性顔面疾患に用いるインプラント型再生軟骨について、二〇一五年をめどに薬事承認を取得し事業化する方針を明らかにした。事業開始後五年で四十億円の売り上げを目指す。同病院は年内に、臨床試験を医師主導で行う予定。

インプラント型再生軟骨は、生まれつき上唇や上あごが離解している、口唇口蓋(こうがい)裂患者の、鼻の形を治療する際などに使用する。体内から取り出した細胞を培養して作製し、実際の軟骨と同じ程度の軟らかさを持つ。従来の培養方法では不可能だった、立体での軟骨作製を実現しており、周囲に軟骨がない部位にも移植でき、体形の変化に対応するといった特長もある。

富士ソフトは二〇〇五年から、産学連携活動の一環で、東大医学部付属病院で軟骨・骨再生医療寄付講座を開催。同社に製薬会社での勤務経験がある社員がいたことから、社会貢献活動(CSR)として開かれた。同社社員も研究に参加し、インプラント型再生軟骨の作成に成功し、国際特許を申請している。

昨年八月には、独立行政法人科学技術振興機構が、公的機関による研究成果の実用化事業の対象に選出した。同病院が新技術研究者、富士ソフトが開発実施企業となり、十七億円程度の開発費を受ける。