時事通信配信記事 2008年2月12日付

「留学生30万人計画」でアクションプラン


中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)大学分科会に設置された「留学生ワーキンググループ(WG)」は、日本を訪れる留学生の将来予測などについて議論を始めた。留学生施策をめぐっては福田康夫首相が1月の施政方針演説で、「30万人受け入れ計画」を打ち出しており、文科省としても対応を急ぐ。同WGでは5月ごろをめどに、短、中、長期それぞれのアクションプランについて、骨子などをまとめる方針。これを受け同省は関係省庁とも連携し、留学生受け入れに関する具体策を2009年度予算概算要求などに盛り込みたい考えだ。

現在、日本を訪れる留学生は年間約13万人。今後の見通しに関しては、06年度の同省委託研究「留学生交流の将来予測に関する調査」の結果が同WGに報告された。調査では、単科大学を除く全4年制大学729校を対象にアンケートを実施。94.4%の688校から回答を得ている。

そのアンケートでは各大学に対し、「諸条件が改善に向けて進んでいくとした場合、どの程度の留学生を受け入れたいと考えるか」などと質問。回答内容を積算すると、将来の留学生受け入れ数は調査から10年後となる16年の時点で約18万人となる。また、大学が留学生の出身国・地域として重視するのは中国、韓国、台湾などが目立つ。

一方、留学生をサポートしているオーストラリアの機関の推計では、25年時点での全世界の留学生の数は760万人で、現行の日本のシェアが維持されれば同年の人数は約32万人となる。しかし、現実の施策や大学の体制など諸条件を見ると、受け入れ増が難しい現状もある。同WGでは、委託研究の調査結果などを踏まえた上で、受け入れ環境の諸条件なども分析し、同WGとしての将来予測をまとめる方針。

さらに、その予測を基に、現在必要な対策、中、長期的な対策などをまとめ、アクションプランにつなげる方向。特に、福田首相の方針を受け、6月ごろの「骨太方針」や7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)などにも反映できるよう、5月ごろには一定の取りまとめを行いたい考えだ。(了)