『朝日新聞』2008年2月9日付

中教審分科会が他部会に「檄文」 「大学予算も考慮を」


教育基本法の改正を受けて教育振興基本計画作りを進める中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会に対し、同審議会の大学分科会が8日、「檄(げき)文」を送った。中教審内の会議が、別の会議の審議に強い調子で異議を申し立てるのは異例。小中高校の予算が増えるのに対し大学関係の予算が減らされていることもあり、分科会の議論では毎回、「特別部会の議論は小中高校の教育に偏っている」という意見が出ており、こうした不満が爆発した形だ。

檄文は、大学分科会長の安西祐一郎・慶応義塾長ら特別部会委員も兼ねる4人の連名で出された。「先進諸国が大学への投資を競い合うように伸ばしている現実を無視するのは、鎖国的発想と言わざるを得ない」などと、強い調子で特別部会の議論を批判。檄文とともに、25年までに現在の大学への公的支出2.6兆円の倍増が必要などとする提言も送った。

特別部会は、こうした委員間の意見調整や、5年後の教育の姿を示す数値目標をめぐる文科省内の調整が難航。基本計画の閣議決定は、同省が目標とする07年度内からずれこむ見通しとなった。特別部会長の三村明夫・新日鉄社長が「年度内は無理」と述べた。