『朝鮮日報』2008年2月9日付

「韓国は“競争政策”を推進すべき」
小泉改革の立役者・竹中平蔵氏インタビュー(5/5)


―竹中教授は新聞のコラム欄に「日本が改革を進めるには、あと10年必要だ」と書きました。日本が発展するには今後、何をすべきでしょうか。

「プロアクティブ改革は今やっと始まったばかりの段階です。ほかの国ではすでに行われ成功しているのに、日本がしていない改革はたくさんあります。例えば、他国に比べ高い法人税の引き下げ、そして最近わたしが主張しているのは“東京大学民営化”です。東京大学は日本で最も多く国民の税金を使う大学です。それなのに世界大学ランキングでは17位。東京大学を世界ベスト5位以内にランクインさせるべきです。東京大学は国により保護されています。国の保護で優位を確保しているのであれば、意味がありません。競争を経て体質を強化する必要があります。同じ条件下で競争するためには、民営化が必要なのです」

―やはり教育改革ですね。ほかに課題は?

「来週、韓国へ行きます。韓国投資公社(KIC=政府が保有する外国為替・共通基金などの資産を運用し、利益を出す公社)を研究するための出張です。日本にもこうした組織が必要です。もう一つ、空を開放する“オープンスカイ政策”が必要でしょう。つまり空港の自由化。今、羽田空港の国際線は一部だけ運航されています。羽田を開放し国際化すれば、東京−香港間を日帰りできます。今はできませんが」

―韓国にアドバイスするとしたら。

「韓国の進むべき道は韓国人が考える問題ですが、やはり“競争政策”を推進するのが重要でしょう。かなりの規模を持つ一部の経済界、つまり財閥が大きな力を持っているため、小さな企業が対等に競争できるよう、財閥が寡占状態を作らないのが大切だと思います」

―「小泉改革で貧富の格差が広がった」と批判する声もあります。

「確かに、日本では格差が広がっています。世界的に見ても同じです。韓国も日本も、グローバリゼーション(世界化)という名のもと、経済のフロンティア時代に直面しています。フロンティア時代で格差が広がるのはやむを得ません。改革したから格差が広がったのではなく、改革をしても、しなくても格差が広がる時代なのです。格差はないほうがもちろんいいです。ですが“改革したから格差が広がった”と言って改革をしなければ、日本経済全体が活力を失ってしまいます。“格差”というのは、改革に反対する人々の政治的な言い訳、政治キャンペーンに過ぎません」

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員