『西日本新聞』2008年2月5日付

梶山九州大学長に聞く 地域発展の契機に 「計画前倒し望む」


九州大学の梶山千里学長は4日、西日本新聞の取材に対し、2019年度に完了を予定する箱崎キャンパス(福岡市東区)の伊都キャンパス(同市西区など)への移転に関して「できるだけ早めたい。可能ならば16年度までに移りたいと思う」と前倒しを望んでいることを明らかにした。

同大学は現在、本部や文系の学部などがある箱崎、工学系が移転した伊都と、1.2年生が主に通う六本松(同市中央区)などにキャンパスが分かれている。梶山学長は「長期間キャンパスが分散すると、教育・研究の活動量が落ちる」と、早期移転を目指す理由を説明。箱崎地区の住民にも意向を伝えたという。

「個人的な見解」としながら、現時点で移転の計画がない大橋(同市南区)と筑紫(春日市)の両キャンパスも「伊都に集約する努力をするべきだ」と述べた。

箱崎キャンパスの跡地活用策は、六本松キャンパスと同じく、同大学や市、地域住民らによる「跡地利用計画策定委員会」を設けて検討する意向を表明。「内々には福岡市に委員会設置をお願いしているが、私か次期学長が正式要請することになるだろう」と、近く具体化するとの見通しを示した。

1911年の創設以降、約100年間なじんできた箱崎の地を大学が離れることについて「創設時に多くの地権者から土地を提供していただいた。大学関係者は歴史をきちんと踏まえ、感謝の気持ちを忘れてはならない」と強調。「大学の移転は箱崎を再開発する絶好のチャンスでもある。跡地をうまく利用して、地元発展に生かしてほしい」と今後のまちづくりにエールを送った。

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九州大学キャンパス移転

九州大学の箱崎、六本松両キャンパスを、伊都キャンパスに移転する計画。2005年度から始まった「第1ステージ」で箱崎地区の工学系(学生数約4200人)が移転完了。08年度から11年度までの「第2ステージ」で六本松地区(同約5300人)が伊都に移る。12年度からの「第3ステージ」で箱崎地区に残る理学系、文系、農学系(同約6000人)が移転し、19年度までに完了する予定。六本松地区は売却し、福岡地・高裁などを配置する計画で、今後は箱崎地区の跡地対策が焦点となる。