『建設通信新聞』2008年2月4日付

防衛,総合評価を全面導入/厚労は6000万円以上に適用/品確議連


自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟制度検討部会(金子一義部会長)は1日、昨年12月にまとめた提言への対応を防衛、厚生労働、文部科学、総務、財務の5省と公正取引委員会からヒアリングした。防衛省は、4月から総合評価方式を全面導入するほか、厚労省は適用基準を6000万円以上の工事に設定し、2008年度は20件以上に総合評価方式を導入する考えを明らかにした。総務省は、2月中旬に地方自治体に対して総合評価方式の導入・拡大、失格基準の併用などを要請する。

防衛省は、07年度に発注金額ベースで約5割の総合評価方式導入を見込んでおり、08年度からは総合評価方式による発注を原則とする。下請けへのしわ寄せなどを防止するため、08年度から施工体制確認型総合評価方式も導入し、ダンピング(過度な安値受注)を防ぐため、特別重点調査も実施する。

厚労省は、予定価格6000万円以上の工事と総合評価方式を適用する基準を明確化した上で、08年度は、国立がんセンターなど国立高度専門医療センターや国立ハンセン病療養所といった工事案件20件以上に総合評価方式を導入する。07年度の実績は10件。

また、08年度から総合評価方式で提案した内容の不履行に対して、工事完成検査に減点項目を設け、不良不適格業者を排除していく。

文科省は、08年度も引き続き技術的工夫の余地のある工事を対象に原則、総合評価方式を導入する。07年度(4−9月)は入札した3件すべてに総合評価方式を導入した。国立大学法人などに対しても総合評価方式の導入を指導しており、取り組み状況を国立大学法人の評価に反映する。

工事成績評定の厳格・適正な実施を確保し、他省庁と相互利用できるよう「工事成績評定要領」を改訂したほか、設計業務などで不良不適格業者を排除するため、新たに「設計業務成績評定要領」も策定した。

工事成績と業務成績が一定成績以下の者に対しては、競争参加資格を認めないといった措置を導入するなど、過去の成績を反映していく。

地場産業の育成に当たっては、地域に貢献する企業を適切に評価するため、総合評価実施方針の改訂を検討する。

総務省は、1月に開いた全国都道府県財政課長・市町村担当課長会議の場で、総合評価方式の導入・拡大、失格基準の併用によるダンピング排除、市町村に対する都道府県の協力・支援などを要請したが、さらに公共工事入札契約適正化促進法に基づき、これらの徹底を国土交通省とともに2月中旬に再度要請する。

その中で、ダンピングの温床と指摘されている予定価格や最低制限価格の事前公表について、障害が生じる恐れがある場合は取りやめるなど適切に対応するよう求める。

また、総合評価方式の導入・拡大に向けて、地方自治法施行令を今月中旬に改正し、学識経験者からの意見聴取を簡素化することを説明した。

財務省は、▽総合評価の徹底▽不良不適格業者の排除▽適正な予定価格の設定――などが適切に実施されるよう引き続き各省庁に助言していくとし、国交省や農林水産省が調査設計業務に本格導入する総合評価方式の包括協議に前向きな姿勢を示した。

公取委は、独占禁止法上の不当廉売に対処するため、1月に国交省、農水省、47都道府県、17政令市に対し、1億円以上の工事を対象に、▽低入札価格調査を実施した工事件名などの概要▽入札参加者▽入札制度――などの情報提供を求めたことを明らかにし、回答に基づき必要な調査を実施していくとした。

不当廉売、不公正取引については、各省ともに公取委との連携・協力の強化を打ち出している。