時事通信配信記事 2008年1月31日付

後継組織の設置要請=教育再生会議が最終報告


政府の教育再生会議(野依良治座長)は31日夕、首相官邸で最後の総会を開き、最終報告を福田康夫首相に提出した。第1次〜3次報告のうち、徳育の教科化など未実施の主要項目を再度掲載するにとどめた上で、報告の実施状況を監視していく後継会議を設置するよう要請した。政府は2月中にも新組織を発足させるが、提言内容の具体化の働き掛けなどに役割は限定される見通し。

最終報告は、文部科学省など関係省庁に対し「実施計画を作成し提言内容を着実に実行することが必要」と指摘し、「国、地方公共団体、学校等の実施状況を評価し、実効性を担保する新たな会議を内閣に設けることが極めて重要」とした。

実施状況の点検のため添付したチェックリストでは、直ちに実施すべき事項に▽徳育の教科化▽小学校の理科、算数、体育、芸術の専科教員配置−などを列挙。検討すべき事項に▽スポーツ庁の創設▽現行の「6・3・3・4制」の弾力化▽幼児教育の無償化−などを挙げた。

同会議は教育再生を最重要課題に掲げた安倍晋三前首相の肝いりで06年10月に設置され、昨年12月までに3次にわたる報告をまとめた。しかし、首相交代に伴い提言の実現性が不透明になったとして、委員らが後継組織を強く要望した。

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教育再生会議の最終報告要旨
 教育再生会議の最終報告の要旨は次の通り。
 〔1〕提言の実現に向けて(略)
 〔2〕これまでに実施された取り組み(略)
 〔3〕提言の実効性の担保のために
 教育再生会議の役割は最終報告で終了。新たな会議を内閣に設置することが極めて重要。
 〔別添〕第1次〜3次報告の実施状況のチェックリスト
 【徳育と体育の充実】徳育の教科化▽体力の向上▽スポーツ振興策(スポーツ庁の創設など)
 【学力の向上】ゆとり教育の見直し、授業時間の増▽小学校の専科教員配置(理科、算数、体育、芸術など)▽「6・3・3・4制」の弾力化(小中一貫校、飛び級、大学への飛び入学)
 【教員の質の向上】社会人等の大量採用(特別免許状、特別非常勤講師により今後5年間で2割以上を目標)▽メリハリある教員給与体系(教職調整額見直し)▽教員養成の抜本改革
 【教育システムの改革】教員公募制など校長の裁量・権限の拡大や任期延長▽学校選択制と児童生徒数を勘案した予算配分による学校改善システム▽学校問題解決支援チームの5年以内の全国配置▽広域人事の担保と市町村教委への人事権委譲
 【大学・大学院の改革】9月入学の大幅促進、英語による授業の大幅増▽国立大学・学部の再編統合、学長選考などの改革▽大学入試の在り方
 【社会総がかり】親の学び▽俗悪番組、出版物、ゲームの有害情報に対するメディアやスポンサー企業の自粛・自主規制▽携帯電話のフィルタリング義務付け▽幼児教育の無償化